2015年10月29日
ハイスピード工法はセメントを使いません。
それはセメントそのものを否定しているわけでなく、理由があるのです。
セメントはコンクリートを作る材料で、世の中に必要なものです。
ですが、そのデメリットもあり、用途によって使わない方が良い時もあります。 そのひとつが地盤改良と考えています。
セメントはpHが12~13と非常に強いアルカリ性です。 pHは7が中性で、最大のアルカリ性は14です。
12~13ならそんなに大したことないとお考えになるかもしれませんが、 私は過去の現場の体験からその凄さを身にしみて知っています。
土木工事の現場監督をしていたころ、生コンクリートを型枠に入れ、表面をコテで均す仕事を20年ほど経験しました。 その時に素手で生コンを触ると次の日には手の皮がボロボロになって剥けます。
なぜかというと手の表面は中性に近く、非常に強いアルカリに触れると手の皮が溶けるのです。
セメントのpH12~13という数値は家庭用塩素系漂白剤ブリーチと同等です。 なぜ手がボロボロになるかご想像できると思います。
もう一つの例としてセメントと対極の非常に強い酸性の代表として硫酸があります。 pHは0~1です。 中心を7として最も酸性の強いのが0~1の硫酸、最もアルカリ性が強いのがセメントとなります。 つまり硫酸に手を付けるとたちまち皮が溶けますが、セメントも同じようなものであると言えます。
このセメントを地盤改良で使うことは、そのような劇物を家の下の土と混ぜているということですから、健康や環境に良い訳がありません。
また、セメントにはクロムという物質が入っており、土と混ぜることで六価クロムが出来ることがあります。
これは国が指定している発癌性物質で、土壌汚染防止対策法にも規定されている汚染物質です。 過去の国土交通省の記録によるとセメントと土を混ぜると5~30%の確率で六価クロムが規定の濃度以上で発生することが知られており、 現在もセメントメーカーの取扱書には危険性が指摘されています。
このような中、住宅地盤の補強では、セメントの危険性をエンドユーザーにお知らせしないまま使っていることが常識です。
ハイスピードを開発するに当たり、できれば危険な物質は使わないで地盤補強をしたいと考えた末に、天然の砕石しか使わないことに決めました。